水越けいこ/シンフォニークルーズ2010

 今日からは、水越けいこさんとの夏のライブ・ツアーをまとめて振り返ります。セットは3種類あり、順番は逆になりますが、まずは16日あった東京ベイクルーズ/シンフォニー船上でのショウから書くことにします。

 日の出桟橋から出航するシンフォニー号でのディナーショウはけいこさんにとっては毎年恒例となっているイベントの一つ。普通のライブとは違った環境でのパフォーマンスはいろいろ難しい部分も多いのですが、それはそれなりに楽しんでしまうのが、ベテラン・ミュージシャンの強み?
 とにかく、こちらには生ピアノが常設されているのが、楽しみの一つです。それと、「揺れ」ね。今年はけっこう揺れました。あんなに晴れ渡っていても、海上は波が高かったのかも。本番前のリハーサルでは、生ピの足をしっかり固定していなかったらしく、演奏中にズズズっと動いてしまうハプニングがありました。その時は私はエレピの方で演奏していたのですが、突然横で大きなピアノが動いたので驚きました。幸い、ステージ奥へ移動したのでたいしたことはなかったですが。

 それと、毎年ヒヤヒヤするのが、乗船時刻に間に合うかどうか。それは車で移動する者に限りますが、交通渋滞やら道を間違えたりで、一昨年は私が出航3分前にドキドキ・ヒヤヒヤのセーフ、昨年はけいこさん自身が危うく船を見送るかもでしたが、さて今年は...?何と全員30分前には集合。さすが、教訓をちゃんと生かしております。

m1.Too Far Away

 いつもならステージ後半、あるいはアンコールでのポジションが定番の代表曲をいきなりとはね。こちらも驚きました。で、けいこさんが登場するタイミングを考えて、普段はカットしているストリングスによる小さなプレリュード的な部分を久々に付け加えました。ピアノだけでやるとちょっと寂しい感じでしたが、フレーズ自体はきれいです。
 オープニングでの"Too Far Away"は重いかと心配しましたが、やはりやってみると「静かな船出」のようなムードになるもんです。名曲はどこにおいても良し。

 続いては、けいこさんの感じる「朝・昼・夜」の印象をオリジナル曲で綴るという構成、まずは朝のイメージで。

m2.朝焼けのメモランダム m3.葡萄棚の下で

 1982年の「Ten」に収録されたm2は初めて演奏しました。詞を聞いていると、いろいろと想像を膨らましてしまいますが、演奏中はなかなかそういう余裕のない難曲でした。ドラム・ベースがいれば、なんてことなく淡々と進んで行く感じですが、いかんせんピアノとアコギだけですから、集中してリズムを供給せねば。ポリス風のフレーズをAメロでずっとキープしながらなので、コード感は薄く、曖昧なムードが漂うのですが、それが面白みでもありました。

 87年の「アネモネ」からのm3は、けいこさんのレパートリーの中でも最も「ヘンな曲」の候補に上げられるのでは。私は大好きです。ここでの矢野誠さんのアレンジには参ります。全く困ってしまうほど、どうってことないのに、どうしようもなく惹かれる部分が微妙に見え隠れするのです。
 ただ、それを再現したいというわけではなく、けいこさんと矢野さんが作っている微妙なムードをこちらも味わいたいと願うのでした。
 具体的にはフォーク風だった頃のキース・ジャレットだったり、現代ならノラ・ジョーンズのカントリー指向("Sunrise"あたりの)とか。
 とにかく、いろいろとやりたい事は浮かびますが、まだまだです。もっと面白く出来そう。

m4.花曇り m5.Feel So Blue

 昼のイメージで選ばれた2曲。89年の「Dramatically」からのm4は2年前のツアーでも取り上げられていましたが、前回はカットしていた部分、イントロのアヤシい入り方と、間奏とエンディングでの変拍子にトライしてみました。何度もやっているうちに結構くせになりそうな曲です。「花曇」というのは春の季語で、日本らしい繊細な表現の言葉ですね。薄くぼんやりと曇った空模様というテーマはなかなか面白い。

 82年の「Vibration」からのm5は曲もアレンジもまさに80年代風なムードでした。サビが特にそうなのですが、明るくパっと盛り上がる雰囲気にならないのは、歌詞のせいなのかもしれません。かなり詞の世界に引っ張られる感じです。

m6.窓景色 m7.Full Moon
 
 夜のイメージでの2曲。81年の「Jiggle」からのm6は曲としてすごく良いと思いますし、私としてはけいこさんの弾き語り(もしくは田口くんとのデュオ)でのライブの印象がすごく強いのです。なので、オリジナルのアレンジはいまだにピンとこないのでした。
 というわけで、田口くんのギターを中心にしっとりとやってみました。この曲とけいこさんの歌はそのまま今の時代にしっくりはまりそうに思うので、もっといいやり方を見いだせればいいな、と思う次第です。坂本冬美さんとビリー・バンバンの「また君に恋してる」の例を見るまでもなく、こういう曲ってもっと聞きたくなるのでは。

 m7は82年のTOTOバージョンと97年のDr.Kバージョンがあるのですが、今回は両方を混ぜた感じになりました。とても洗練された曲なので、どのようにやっても印象的になります。悲しい恋の終わりなのに、曲を聞いたあとは不思議に爽快な気持ちになっているのでした。

m8.海潮音 m9.蒼い涙

 本編最後は最近の作品を2曲。この前までやっていたツアーのいい感触をそのまま持ってきた感じです。特に8.15の終戦記念日の翌日だっただけに、m9で締めくくるのは良かったと思います。

En1.ほほにキスして 2.この夜に

 アンコールに応えての2曲は、おなじみのヒット曲で盛り上がってから、久しぶりの"この夜に"でした。これは、なかなか楽しかった。静かにジワジワと高まっていくゴスペル風の曲ですが、内容は濃いのでした。詞の内容も最近のけいこさんらしい前向きさと真摯な世界観があって、とてもいいエンディングになりました。
 終わってから、スタンディング・オベイションをしてくれている方々もいらして、こちらも感動しましたし、心からありがたく思います。

 本当に良い夜になりました。

 
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by harukko45 | 2010-08-19 00:26 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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