大橋純子/クラブサーキット2010詳細(3)

詳細(2)からの続き

m6.たそがれマイラブ 7.ビューティフル・ミー(東京のみ) 8.シルエット・ロマンス 9.シンプル・ラブ 10.サファリ・ナイト 11.ペイパー・ムーン(東京最終日のみ)

 ステージ後半はジュンコさんのオリジナル・レパートリーの連続。これらのおなじみの曲達にはあらためて付け加えることはないわけで、もはや我々には血肉と変わらないほど、体にしみ込んだ世界。ひょっとしたら目つぶってても、あるいは眠ってても出来る?そういう問題じゃないか。

 とは言え、個人的にはm6とm7は、今回とても出来映えが良かったように思えたし、曲への思い入れも深まったように感じました。というか、もっと単純に「好きだ」ということ。
 またある意味、そういった特別な意識がなくてもm8以降の曲には、有無を言わせぬ絶対性が存在していて、例えばローリング・ストーンズが「サティスファクション」「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」「ブラウン・シュガー」らを演奏するのに近いのでは。
 また、いつもはオープニングでやることの多かったm9を、今回このポジションで演奏するのはとても新鮮でしたし、この曲の持つインパクトの強さを再確認したのでした。

m12.愛は時を越えて

 そういった流れで、この曲もジュンコさんの中では格段に大きな存在となってきた一つと言えるでしょう。それも、「Terra2」での大山泰樹さんのピアノ・ダビング・バージョンをベースにして、じょじょにバンドが加わっていくライブ・アレンジになってから、ステージのハイライトとなる大事なレパートリーとなりました。
 もちろん、アレンジだけでなく、本来持っていた歌詞の深みが時代とリンクしてきたこと。歌うジュンコさんが何より共感を強く抱いていることで、当初は大げさに思えた曲が今はすごくしっくりと来るようになったのでした。

 そういったこちらの思いは、やはり聴いている方にも素直に伝わるもので、どの会場、どのステージでもこの曲が終わった時の拍手は熱かった。私自身も精一杯集中してのぞんでいる曲なので、やはり客席からの大きな反応があるのはとてもうれしいことでした。

En1.Cry Me A River(東京のみ)
 
 1955年にジュリー・ロンドンによってヒットしたスタンダードの名曲。当初はエラ・フィッツジェラルドが歌う予定だったが、制作側に却下されてしまったという。作詞・曲のアーサー・ハミルトンにしてみれば、一度は落胆したものの、その後に自分と離婚したばかりのジュリーに歌わすことで、とんでもない大きなヒットになったのだから、世の中とは実に面白いもんだ。

 ジュリー・ロンドンのバージョンは、ギターが名手バーニー・ケッセルで、あとはウッド・ベースのレイ・レザーウッドのみというシンプルなバックがサイコー。ここでのバーニー・ケッセルが好サポートで、ジュリー・ロンドンのボーカルもまさに「クー、たまらん!」の極致ですなぁ。

 歌詞は痛い。
「今になって、あなたは、寂しくて一晩中泣いたですって?
それなら、川のように涙を流して泣きなさい
私もあなたのために川のように泣かされたんだから

私を裏切って捨てたことを今はすまなかったと言うのね
それなら、川のようにたくさんお泣きなさい
私だって、あなたのために川のように泣かされたんだからね

私は気が狂うほどあなたに夢中だったわ 
なのに、あなたは涙ひとつ見せなかった
私はあなたが言ったことを何もかもすべて覚えているわ
あなたは恋なんてバカらしいとか、私たちは終わったんだとか言ったわ

それなのに、今さら愛してるですって?
それじゃあ、愛してるってことを証明するために
さあ、私のために川ができるぐらいに泣くといいんだわ!
いい気味だ!泣け泣けっ!
私もあなたのために、さんざん泣かされたんだからね!」

 というわけで、そういった痛みをじゅうじゅう知る人間3名でバックをつとめました。ご覧になった方はよくおわかりかな?

 さて、ちなみにこの曲をのちにエラもカヴァーしておりますし、最近ではダイアナ・クラールも歌っておりますが、このようなジャズ畑の名歌手達は、ちょっと慣れすぎちゃってて、今一つジュリー・ロンドンほどのリアリティがないのです。かなりウマいのは確かなんですが。

 そこいくと、エアロスミスのスティーブン・タイラーとか、ジェフ・ベックのバンドで歌っているイメルダ・メイあたりの方がピンとくる感じ。
 そして、我らがジュンコさんも、安易にジャズを気取るわけではなく、まさに正攻法の歌い回し。でも、メロディをあまり崩さずにキリっと歌い上げる方が、絶対にグっとくるし、歌詞の世界をイメージしやすい。それでいて、誰の真似でもない歌いっぷりはさすがでした。会場からもずいぶん声がかかってましたね。

En2.Ride On Time

 というわけで、ステージ最後は全員で山下達郎さんのこの曲。最後もパーっとノリノリで終わりたい、そういう意図で、昨年に引き続き選曲されました。

 実はこの曲、ジュンコさんには少しキーが低く、今一つご自身ではスカっと抜けてこない感じだったらしいのです。それで、リハーサルでは半音上げてやったりもしてみました。すると、確かにキーを上げるとジュンコさんらしい世界が出てきて、明るいサウンドになったのですが、これはこれでもろもろ問題があり、結局元に戻りました。ただ、一度そういったことを全員で経験したことは大きかった。それにより、ジュンコさんがのぞんでいるサウンドを具体的に理解できるようになったのでした。まぁ、それは理屈ではうまく言えない部分ですが。

 なので、この曲もヤマタツさんの世界から、ジュンコさんの世界に変化してきたと言えるでしょう。音符上は比較的CDに忠実にやっているのですが、やはり表情は昨年よりもアグレッシヴになったのではと思います。それにしても、エンディング近くでのジュンコさんのフェイクはいつもすごかった。ここまでやられたら、燃えるしかないでしょう。
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by harukko45 | 2010-08-17 22:46 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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