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テレビ・新聞の未来

 去る3月22日の22時からNHKで放送された『放送記念日特集 激震 マスメディア ~テレビ・新聞の未来~』という番組は偶然見つけて、最後まで見たのだが、今頃になって、その裏でUstreamがまさしく裏番組をやっていた事を知り、そちらも見ていればよかったと、つくづく残念に思っている。
 何と、その裏番組には上杉隆、堀江貴文、津田大介、山本一郎、小飼弾といったネット界の有名論客達がそろっていたとのこと。かなり、酔っぱらい状態のグタグタな流れだったようだが、NHKの番組終了後はNHKの方に出演していたdwangoの川上社長が加わり、彼の「ニコニコ生中継」も導入されて、なかなか活発な議論の場になったとのこと。

 マス・メディア的にはその場で堀江氏が語った「近鉄買収は楽天経由だった」ということのみ、大きく伝えられているが、実際には現在のマスコミへの批判が相当量あったと想像できるので、他の重要な部分は無視されて当然なのだろう。

 で、この時の裏は見れなかったが、表を見た視聴者としては、そこに出席していた内山斉氏(読売新聞社長/日本新聞協会会長)、広瀬道貞氏(テレビ朝日顧問/日本民間放送連盟会長)、今井義典氏(NHK副会長)による「表」代表と、川上量生氏(ドワンゴ会長)、佐々木俊尚氏(ITジャーナリスト)、遠藤薫氏(学習院大学教授)よる「裏」代表による議論が全く噛み合ないのが、すさまじく面白く、この状況はすでにアメリカで起きている新聞社の倒産や、メジャー放送局のダウンサイジングの現実が日本にもまもなくやってくることを確信させるものだった。

 いちいち一つ一つ細かいことはもう忘れてしまったが、とにかく一番強く印象に残ったのは広瀬氏や今井氏がさかんに「新聞・テレビとネットの融合」を語りながら、既存のマス・メディアの報道はプロによる「きちんとした」「確かな」「信頼できる」ものである、と力説した後に、川上氏が「ネットとマス・メディアとは全く別の世界なのだ」とサラっと述べたことだった。
 川上氏はその人柄からか、意見を声高に言ったり、相手を威圧するようなことがないので、まさに「サラっと」主張されていたが、見ているものからすると、「それが真実だ!」と強く共感するものだった。

 佐々木氏もかなり具体的にマス・メディアの危機とネットの隆盛を語っていたと思うが、学者である遠藤氏は結局のところ双方の妥協点的な部分に落ち着かせようとする指向が見えて、中途半端な話を繰り返していた印象だった。

 ただ、それでも圧倒的に「裏」側の意見の方が説得力とリアリティがあり、「表」側の3人の考えには先進性も柔軟性も現在から未来への危機感、展望、対策が全く聞かれず、全てがただただ「言い訳」と「予定調和」にしか見えなかった。
 実を言うと、私などはどちらかと言えば旧世代に属する年代なのだが、それでも新聞を家でとらなくなってすでに10数年たつし、テレビの特に報道における信用性については、かなり疑念の思いをずっと感じていた。

 だが、自分一人で疑ったり、おかしいと思っていても、それまではほとんどの人がマスメディアから情報を得ていたし、それが正義・真実に見えていた時代を生きてきたために、いっこうに検証されることはなかった。
 が現在、このネットの隆盛によって、これまで見えなかった部分が普通の人々にも伝わるようになり、自分達の意見や疑問さえも公開で語れるようになった。

 それにより、マスコミというものが、いかにオープンでなかったか、彼らががいかに情報にフィルターをかけて発信していたかが、じょじょに分かり始めてきた訳だ。

 いや、新聞社やテレビ局が自分達で情報をいじくるのは、別に悪くはない。ただし、そのかわり新聞やテレビもネットに関わりを持ちたいのなら、彼らもただのコンテンツの一つでしかないことを理解すべきで、これまでのように「正しい情報、真実を伝えているのは我々だけ」みたいな傲慢な姿勢をやめろ、と言いたい。
 自分達の考えを発信したいなら、少なくともアメリカのように選挙前にどの政党やどの候補者のどの政策を支持するのかといった明解な主義主張を自らも提示すべきだ。日本のマスコミの言う「中立性」など、絶対に信じられないし、欺瞞に満ちている。

 テレビに登場する政治評論家や記者達が語っているのは「政局」だけだ。彼らは「政局評論家」「政局記者」と名前を改めて欲しい。彼らが語るのはスキャンダルだけで、我々がちゃんと知りたい政策論議をきちっとするのをほとんど見たことがない。

 とは言え、もう遅い。マスコミ、マスメディアはじょじょに衰退する。少なくとも私にはあまり必要ない。今後、マスコミなるものが成り立つのは、凛とたたずむ高潔なる保守としての立場のみではないか。革新や先鋭性はネットが引き受け、横丁のご意見番、物知りのご隠居としての重厚なる存在感を示してくれるのなら、それはそれで敬意を持って接したいが。

 
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by harukko45 | 2010-04-01 16:47 | 日々のあれこれ | Comments(0)

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