バンクーバー・オリンピック17日目

 熱く燃えたオリンピックもおしまい。今回はいろんな意味で興味深い戦いが多く、かなり楽しめた。
 最後の最後であったアイスホッケー男子決勝も、かなりの大熱戦で面白かった。まぁ、正直どんどん老眼になりつつある私には小さなパックを追いかけるのも大変ではあったが。アメリカもカナダもNHLの選手ばかりだから内容もハイレベルでありましたね。とりあえず、地元カナダ優勝で、国技としての面目が立ってよかったですな。

 それと、クロスカントリーの男子がスキー競技の最後だったんだけど、その男子ではなく、これは16日目で書かなくてはいけなかったのだが、女子30kmクラシカルで石田正子選手が5位入賞したことに注目したい。これは大変な快挙なのだ。
 この手の種目で日本人が上位に食い込むのはかなり困難な中、彼女はトリノ以降じょじょに成績を上げ(07年世界選手権30kmクラシカルで13位、09年世界選手権では10kmクラシカルで8位、ワールドカップの30kmクラシカルで3位)、そのたびに日本最高記録を書き直してきた。
 もちろん、ご本人は3位以内に入ることを目標としていただろうが、ヨーロッパや北米に比べ、その環境や強化態勢が格段に劣る日本の選手によるこの入賞は、やはり高く評価すべきだと思う。
 
 さて、というわけで一応簡単にこのオリンピックをまとめると、前半で最も強烈なインパクトを受けたのは、何と言ってもスノーボード・ハーフパイプ。ショーン・ホワイトの神懸かり的なパフォーマンスを見れたことは一生ものだったです。
 またモーグルが男子も女子もものすごいハイレベルに進化したことも特筆に値するでしょう。うっかりしていると本家のアルペン競技よりも人気を勝ち取る可能性まで見えました。
 そのアルペンでは、何と言ってもオーストリアの絶不調が目立った。そのかわり地元に近いアメリカ勢が活躍。だが、アルペン競技全体にスーパースターがいないのはちと寂しい。
 ジャンプではアマン、マリシュのちびっ子二人が個人では圧倒。ここでもオーストリアは勝てず、何とか団体で面目を保った。
 スケートでは韓国の大躍進が目立つ。この大会ではスピード、ショート・トラック、フィギュアすべてで大きな成果を上げた。

 日本選手について振り返ると、スピードスケートは500m男子は良かったものの、他はほぼ完敗。最後のパシュートはいかにも日本人向けな競技で、今後にも期待できそうだが、肝心の個人種目ではなかなか厳しい状態が続きそう。
 ジャンプはもっと深刻。とにかく、日本人特有な小さくまとまった状態から、「殻」を突き破るような「個」の登場と育成が何としても必要。一歩でも二歩でも日本的常識から飛び出すようなアスリートが集まって、はじめて組織・チームという形にならなければ、団体戦でも勝てない。それはジャンプだけでなく、ノルディック複合やショート・トラックなどにも言えるだろう。

 カーリングは前回よりも注目が高まって、競技の認知度はさらに上がったとは思うが、これからズルズルと成績が低迷してしまっては、その火も消えてしまう。
 強豪国のように30代40代の経験を積んだベテラン選手達が第一線で戦っているのに比べて、日本はスポーツに対する考え方や社会のあり方、特に女性が年齢を重ねてもスポーツをあきらめることなく続けられるような環境が、まだまだ未成熟というレベルであり、現在のような経済状況ではますます難しい状況になるやもしれないが、是非とも日本にしっかりとカーリングが定着するように、今の選手達・関係者の皆さんに頑張っていただきたい。まずは、世界選手権での奮闘に期待したい。

 そして、フィギュアは男子女子全員入賞というのはまさに、日本がフィギュア大国であり、バランスのとれた力を持っている事を示したと思う。
 男子の高橋選手は今大会の日本選手全員の中で最も素晴らしい活躍をしてくれた人。1年前の大けがからの復帰ということも考えれば、よくぞメダルを取ってくれたと思うし、その価値は銅以上だと確信している。それに、彼はこれまでの日本人に比べて大変表現力が豊かで、ある意味日本人離れしているが、それでいてわざとらしさがなく、とても自然な流れを作り出していた。彼のフリー終盤には、その演技にすっかり夢中になってしまい、もはや最初の4回転失敗などすっかり忘れてしまうほどだった。このような男子スケーターは今まで日本にはいなかった。

 小塚選手のフリーも高く評価したい。4回転の成功は日本人では彼だけですしね。次の大会ではエースになりうる存在でしょう。織田選手は靴ひもが切れて中断してしまうという、「ちょっと空回り」っぽいアクシデントでかなり悔いの残るオリンピックだったかもしれない。それに、"Mr.Safety"モロゾフ・コーチにより4回転を回避してしまったのは、本来の彼の持ち味を奪ってしまったようにも感じた。だから、彼の場合は今後への取り組みをしっかり考えることが必要だろう。

 女子は、まず鈴木選手のフリーを絶賛したい。バーンスタインの音楽のカッコイイところをちゃんと理解しての構成・振り付け・演技で、あんなに楽しいフリーは他にはなかったし、よくSPでの低い評価を挽回したと思う。

 安藤選手は、トリノに比べれば格段に良かったし、この4年間の積み重ねには敬意を表したい。だが、彼女がこれからもモロゾフ・コーチと組むのが良いのかどうかはわからない。
 "Mr.Safety"の功績でジャンプ以外のスキルや表現力などは上達したと思うが、もし、次のソチを目指すなら別のスタッフという選択も十分ありうる。とは言え、SPでの3-3のコンビをダウングレードされたのは痛かったし、解説の八木沼さんは「認定すべき」的な発言だった。もし、これが認定されていれば3位もあった。いろいろ裏を勘ぐればきりがないし、えげつないのだが、それでも地元へのアドバンテージはあっただろうと思う。

 そして、真央さんについては、前にずいぶん書いたので繰り返さないが、私のような50を過ぎた人間でも19歳のアスリートから学ぶことがいかに多いかをあらためて知った。
 結果は私が今シーズン最初に感じた通りになってしまったものの、それと同時に、やはり彼女は今後がもっと面白いと感じたのだ。確かにフィジカル的なピークは今回だったかもしれない。だからこそ3Aの3回成功という偉業を達成できた。だが、未完とは言え芸術性の高さと技術面での難度を同時にこなすという今回のフリーでの試みは、やはりとんでもなく素晴らしいことだし、その進化・深化・完成は今後にあると確信する。今月の世界選手権もまたまたいろんな意味でも興味深いし楽しみですなぁ。

 さて、夜更かし・早起きの連続もこれで終わり。明日からまた頑張ろー。
 
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by harukko45 | 2010-03-02 01:08 | スポーツ

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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