水越けいこ/Tour 2010の詳細(2)

 前回の続き...

 "ほほキス"のヒットはけいこさんに大きな成功をもたらしたが、それによりアイドル的なイメージが残ったことも確か。だが、本当にけいこさんがなりたかったのは、アルバム・アーティスト。だからこそ、アルバムを作っていくことが最も大事であり、その中の曲達を評価してもらえることが最もうれしいことだった。
 そこで、数あるアルバム収録曲の中から、特にファンの方からのリクエストや人気の多いものをピックアップしてみたとのことでした。

 m10.振り向いてほほえんだら
 87年の「Propotion」から。この曲はイントロがちょっと意味深なので、一体どういう展開になるのか、という気分にもなりますが、歌に入ってからは、映画のタイトル曲にもなりそうな何ともしみじみとした仕上がりが良いのです。
 繊細なコード進行や歌のバックに施されたカウンター・メロも効果的です。なので、基本的にはオーケストレイションされたものを、ピアノで出来る限りカヴァーしました。それにより、一見シンプルなバラードでありながら、実は大きなスケール感を持った曲であることが感じられました。

 m11.移る季節(とき)に
 80年の「Love Time」から。けいこさんの初期のアルバムでのアレンジャー陣はなかなかの豪華メンバーですが、特に佐藤準さんと大村雅朗さんの仕事が印象的ですし、けいこさんにとてもマッチしていたと思います。この曲はサトジュンさんのアレンジですが、シンプルなボサノヴァ・タッチでありながら、いろいろ細かい配慮があってさすがの出来ではないでしょうか。
 それをバックにけいこさんの切なさ満載の世界が「たまらん」ぐらい展開するのでした。なので、余計なことは全く必要ないわけです。

 m12.Loneliness And Blue
 91年の「Humane」から。このオリジナル・テイクはギターが中心のバンド・サウンドによる、アグレッシヴなアレンジでしたが、確かにポップな感覚ではありますが、今はちょっと違った感じでやってみたくなります。曲だけを取り出してみると、もっと哀感があり、けいこさんが言うところの「シック」な味わいがあることに気づきます。詞も言葉がポツ、ポツととぎれとぎれで、それが溜め息のようでもあり、その言葉が少ない分、詩情が全編に漂っているとも言えるのでした。
 で、比較的自由な発想でトライしてみました。あまり決めごとなく、思うがままにその場その場での感性を大事にしてやるのも良いかと。サビがとても素敵なので、どう転んでもそんなに悪くならんだろうと。私はとても好きです。

 m13.むらさきのシーン
 81年の「Jiggle」より。こちらはいかにも大村雅朗さんのセンスの良さがよく出た、実に気持ちのいい仕上がりの曲。曲の持っている幸福感を変に人工的な細工をせずにうまく表現できていて良いです。アルバムの通りには全ては再現できませんが、そのベーシックな部分を弾いているだけでも晴れ晴れとしてうれしくなります。この曲のファンが多いのもうなづけます。

 m14.波に寄せて
 82年の「Vibration」より。これもけいこさんの傑作ではないでしょうか。個人的にもすごく好きな曲ですし、好きなアレンジです。アレンジャーは佐藤準さん。いい仕事をしていると思います。詞と曲のスケールの大きさがまさに海そのもの。ですから、この曲の製作陣に敬意の気持ちを常に感じてしまいます。

 さて、いつもならこの辺で終わりかもしれないですが、今回は過去を振り返るだけでなく、未来も歌いたいという思いから、まだリリースされていない曲を3曲もメニューに組み入れてありました。なかなかけいこさんらしい大胆さ(?)とも大らかさとも言えますか。でも、素晴らしいトライだったと思いますし、ファンの皆さんに完成前のプロト・タイプを楽しんでもらうのも面白いと思いました。

 m15.モノクローム
 これは、まさに出来立てほやほやで、今回のリハで初めてやりました。なので、全てにおいて試作品です。しかし、詞の中に込められた思いはしっかりとあるので、気楽な気分ではプレイできません。いろいろとピアノでのバッキングやコード展開を工夫しているうちに、今回のような形になりました。今後、もしレコーディングにこぎ着ければ、またいろいろと変化していくことでしょう。

 m16.会えた後
 これは、2006年に生のバンドでレコーディングした曲で、その仕上がりもなかなか良い感じです。シンプルな8ビートのポップ・チューンですが、全体に60、70年代のクラシック・ロックのニュアンスがあり、いつもよりストレートなけいこさんが出てきていると思います。

 m17.蒼い涙
 これも2006年に作り始めた曲で、主に私がオケを作りました。ですが、歌詞の部分でいろいろと納得されずに、仕上がりませんでした。しかし、ここにきてようやく良い詞にまとまったのでした。今後、それに合わせてダビング等が済めば、正式にリリースされる日も近いでしょう。
 ある意味、m15とともに、現在のけいこさんの考えやメッセージが強くこめられた内容でしょう。その作品の指向にこれまでとは違う世界が見え始めていることに気がつかれた方も多かったのではないでしょうか。

 En1.あ・な・た・に
 「Like You」からで、名曲に間違いないです。とても神経を使う曲ですが、実にやりがいがあります。それにしても、詞がくる。

 En2.Dear Summer Time
 82年の「I'm Fine」からで、バックはTOTOでした。やっぱり演奏に何とも言えぬ強さがありますなぁ。今回のライブではピアノとギターだけでしたが、ファンの皆さんの手拍子とともに楽しく盛り上がれました。意外にこの編成でも大丈夫ですなぁ、なんてね。
 終演後のお客さん達もうれしそうな表情が見て取れたので、こちらとしても本当に良かったです。

 そして、最終日の京都ではダブル・アンコールをいただき、本編ではやらなかった"飛べるかもしれない"をやりました。これは偶然にも、まさに最後にふさわしい曲でしたし、とても晴れやかな気持ちで全てを終えることができたように思いました。

 今回、名古屋・大阪・京都の各会場にお越し下さったファンの皆様には心より感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。おかげで、今年も充実したツアーをやり遂げることが出来たと感じています。本当にありがとうございました。
 とにかく、オフの時間も楽しいひとときであり、よく食べ、よく飲み、よく語ったツアーでした。今後もより良いステージを目指して、けいこさんを頑張ってサポートして行きたいと思うのでありました。

 
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by harukko45 | 2010-02-24 01:04 | 音楽の仕事

おやじミュージシャン和田春彦の日記でごじゃる
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