ジョン・レノン・スーパーライヴ2009の詳細(2)

詳細(1)からの続き

 GOING UNDER GROUNDの松本素生さんを迎えて

e0093608_16151250.jpg 松本さんは外見に似合わず(失礼!)、実に爽やかで良く通る声がいい。それに、その表現にはとてもナイーブな一面を感じさせる。私はこのイベントで何回か"Don't Let Me Down"をやらせてもらったが、今回が一番うまくいったように感じた。
 それは、我々トリビュート・バンドのメンバー達がただの寄せ集めでないレベルであり、一つの固まりとして、私たちならではのサウンドを作り出していたからだった。土屋さん、古田くん、押葉くん、和田の4人は2005年からの付き合いであり、十川さんも2007年から、長田くんも昨年から、とメンバー同士の気心があってきたことが大きい。それぞれ会うのは一年ぶりだったりするが、何となく「我が家にお帰り」的感覚が今年は強く感じられたのだった。

 特に、この曲のようなシンプルなサウンドで、それぞれの個性が生きるものでは、自分が思っている以上にこのバンドの「色」が浮かび上がってきたと思う。ビートルズの忠実な再現からスタートしながら、じょじょに各自が自分なりに昇華していく作業こそ、まさにバンドをやる醍醐味と言える。

 そこに、素生くんの声がのってすごく気持ちのいいブレンドが出来上がった。

e0093608_16414958.jpg その素生くんの切ない感じの歌声がより生きたのは、"(Just Like)Starting Over"だった。この曲も選曲する人が多く、必ず毎回登場するが、正直、ジョンのテイクにある「ピュアさ」を出す事はなかなか難しく、それぞれの「再出発」を提示することになる。それはそれで良いし、新たな世界に導いてくれて楽しい。だが、オリジナルにある大事な「何か」をしっかり表現することも音楽家の大きな役割だと思っている。
 また、キーを高く変更したりすると、ジョンが目指した「プレスリー・ロックンロールの現代化(この当時は80年代化)」が出来なくなる。ギターやベースのサウンドがどっしりしなくなり、ピアノでのオールディズ風な3連刻みがやけに可愛いらしくなってしまう。なので、意識的にアプローチを普通のシャッフル・ビートに変えてやったりもしていた。

 が今回、オリジナル・キーで、そういったサウンド面での制約がなくなったので、プレスリー・スタイルのアプローチが出来たし、女性コーラスのサンプリングも効果的に使うことが出来たのだった。これも個人的には大変うれしかった。

 私は押葉くんが歌う"Starting Over"が最も好きだが、今回の素生くんはそこにかなり肉薄するパフォーマンスをしてくれたと思うし、素生くんのピュアな音楽観にとても共感した。天才歌手ジョンの曲を歌いこなすのはすごく難しい。

 続いて、Leyonaさんを迎えて

e0093608_17231949.jpg Leyonaさんは独特の歌い回しで聴き手を魅了する人で、ブラックミュージック系のニュアンスを生まれながらに持っているような自然さがあって、すごく素敵だなと思った。
 彼女が歌った1曲目はおなじみの"Mother"。これも人気曲であり、これまでも何度も取り上げられてきたが、Leyonaさんは大胆不敵にもア・カペラでのパフォーマンスになると聞き、我々も最初驚いた。
 だが、実際にリハーサルでお会いし、そのカッコイイ歌いっぷりを聴くと、なるほど彼女ならア・カペラで十分に観客を虜にする力があると確信した。ただ、より彼女の登場を効果的にしたかったので、ジョンのオリジナルにある教会の鐘の音を流すことにした。これで、お客さん達も曲があの"Mother"であることがわかるし、その音の後に、何と無伴奏で歌われることがより刺激的になると思った。あの時、シーンと静まり返った武道館に、彼女の声と鐘が美しく共鳴しているのを感じたのだった。

e0093608_16271356.jpg 緊張感あふれる中、凛とした姿で"Mother"を歌い終わった後に、今度は我々バンドとともに実に渋い選曲、でも演奏してても聴いてても楽しくてゴキゲンな"You Really Got A Hold On Me"を歌ってくれた。

 この曲のオリジナルは62年のザ・ミラクルズのヒット曲で、当然作曲はスモーキー・ロビンソン。モータウンの名曲の一つであるが、ミラクルズでのタイトルは"You've Really Got A Hold On Me"なのに、ビートルズは"You Really Got..."のタイトルでカヴァー、63年のセカンド・アルバム「With The Beatles」に収録している。
 ビートルズはかなり忠実にモータウン・オリジナルをコピーしているが、キーをCからAに下げている。スモーキー・ロビンソンがファルセットで甘くセクシーに歌っているのに比べると、ジョンは正攻法でけれん味なく歌っている。やはり、横揺れ横ノリするミラクルズの「くー、タマラン」ってムードには一日の長を感じるが、なかなかどうして若いビートルズも健闘していて、特にハモ・パートなどビートルズの方がカッコよくキマっている。

e0093608_16221281.jpg で、我々は最初、ビートルズのバージョンを基にタイトな感じでやっていたのだが、Leyonaさんの歌はより黒っぽく、たぶん彼女もミラクルズの方を意識したような感じだったので、少しテンポを落とし、粘っこいニュアンスを加えるようにトライしてみた。
 もちろん、キーもビートルズのAからCに上げたので、ふむふむ、結局ミラクルズと同じになったわけね。
 ただし、押葉・土屋・和田のコーラス隊はビートルズ風で頑張ってみた。2回出てくる「Hold Me,hold me,hold me」のリードとコーラスの絡みは曲中で最大の聴かせ所だけに、ちょっと緊張したが、本番はすごくうまくいったと思う。いやぁ、実に気持ちがよかったぞい。

詳細(3)に続く
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by harukko45 | 2009-12-28 16:55 | 音楽の仕事

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